Intel 660p 512GBモデル レビュー

QLCですよっ!QLCっっ!

TLCから更に多値化したQLC


MLC信者と言っていた私ですが、データ用ということで安さに惹かれQLC SSDを購入しました。
NVMeで512GBなのに13,000円で買えるという価格破壊っぷり。
書き込み速度がデメリットですが、ゲーム用として割り切ることで購入。

見た目はごく普通のNVMe SSD


QLC NAND搭載ということですが、見た目としてはそう変化ありません。
銀色のものがSMI製コントローラ。その下がDRAMキャッシュ。横に2つあるのが今回の目玉のQLC NANDです。
サイズもごく普通のM.2。コネクタもPCIe x4用の切り抜きがされています。
基盤の色が緑色でこの辺はIntel 600pシリーズの面影があります。
裏面には実装がなく、片面実装となり冷却等もしやすくなっています。

PCIe x4(x16)スロットに増設


マザーボード上のM.2スロットはすでにすべて埋まってしまっているため新たに増やしました。
私が使っているH370-FというマザーボードはPCIeスロットをすべて使ってもグラボの帯域が減ったりSATAが減ったりしないマザーボードです。
今回使うPCIe x16スロットもスロット形状はx16ですが、接点はx4までしかありません。
またCPUからではなくチップセットから伸びているPCIe信号です。
一緒に使うのがPCIe x16スロットを使いM.2を引き出すいわゆる下駄


これを利用することでI/Oブラケット部も無駄なく活用できるという魂胆です。

肝心なベンチマーク


UEFI、OS共に認識したので早速ベンチマーク。

ランダムリード遅くね?!え、SATAクラスやん!?お前NVMeだろ?
慌てて仕様表を確認したところ「512GBモデル ランダムリード90000 IOPS
多少のズレはありますが、だいたい90000(IOPS)*4KiB=360(MB/s)
360MB/sまでしか出ません。oh…。完全に自分の確認忘れでした。
書き込みが遅いのは事前情報で知っていましたが、まさか読み込みのランダムが遅いとは想定外…。
シーケンシャルリードはPCIe並ですし、落ちることもありませんからこれで満足するしかねぇ…。

問題の連続書込


定番のHD Tune Proを利用して150GB分連続書込行ったところ惨事でした。
元々512GBモデルは60GBまでSLC領域と聞いていましたがそこに到達するまえに速度低下が発生。
そして速度低下後は80MB/sまで落ちるという状態に。
1TBモデルや2TBモデルはSLC領域が多いので通常利用では問題ないとは思いますがキャッシュ溢れ後の速度が想像以下でした。
また660pは残容量に応じてSLC領域も減ってしまうのでカツカツで利用すると更に100MB/s以下の世界で運用する必要があります。

SLC→QLCへの移動作業?


検証中、タスクマネージャやアクセスランプも点滅していない状態で高い発熱を持つことがありました。
しばらく待機していると温度が落ちたので、おそらくSLC領域からQLC領域へデータの移動を行っているものと思われます。
ただ、QLC領域への書き込みが100MB/s未満という状況なので、ハードウェア上で行われるデータ移動作業がかなりの時間かかるのではないかなと個人的には思いました。
これは今後のファームウェアで改善されればいいのですが…。

発熱量は少なめ

連続書込時は60℃や70℃近くまで到達したものの、通常のベンチマーク程度では60℃いくかいかないか程度でした。
発熱量は少ないとも言われるExtremeProでさえ、ヒートシンクをつけてベンチマークして60℃いかない程度なので、素の状態で60のいかないとは結構低発熱かと思います。
ただSLC領域からQLC領域への転送作業が唐突に発生するので、寿命を考えるとヒートシンクをつけておきたいとこです。

純正ツール「Intel Toolbox」はほぼ使えない


Intel製SSDということでインストールしていたのですが、いくつかの機能が利用不可能でした。
Intel SSD OptimizerやSecure Erase等。
ファームウェアアップデートや診断用スキャンは利用できたので、おそらくドライバとの連携がうまくできていないかコントローラが対応していないなどだと思います。
512GBモデルはアップデートが来ていたので早速更新しましたが、特に変化はありませんでした。

Twitterではランダムライトの数値が落ちたとの情報アリ

QLCはまだまだ発展途上


SSDの価格破壊と容量激増を期待されついに出てきたQLC SSDですが、その初品はまだまだ未完成なものでした。
IntelもSLC領域を可変にしたりと色々対策を練ってきているのはわかりますがにしても100MB/sは悲惨としか言いようがありません。
今後のファームウェアで改善される可能性も無くはないですが、どちらかというと後継機で改善される方向だと思います。
Intelがどの程度SMIに対して要求をしているのかはわかりませんが、今回をの見る感じあまり口を出していない気もします。
コントローラがSMIの汎用品である以上、今後Intel以外のメーカーからもQLC SSDが出るとは思いますがよほどうまくファームウェアを作らないとこれ以上のものはできなさそうです。
SLC領域に関しては1TBモデルや2TBモデルでは増えているのでその範囲内で利用するのであればNVMeの恩恵に預かれます。



価格もNVMeでこの容量にしては安い部類です。
512GBモデルもSLC領域が60GBほどで十分というならアリな価格です。

ただ、個人的な意見を言いますと…
現状、大容量でシーケンシャルリードが必要でないなら、NVMeの256GBかSATAをオススメします。